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教えてタカアキ先生!〜奥深きミツバチの世界〜第9回「松本養蜂のプロポリス 何がすごいの?」
この連載について
皆さんは「はちみつ」と聞くとどんなイメージを持たれるでしょうか?
売り場に行くと、沢山の種類のはちみつがありますが、その奥にある「はちみつが生まれるまでの物語」を覗くと、そこには草木とミツバチと人が織りなす不思議で面白い世界が広がっています。
そこで、この連載では、あなたのはちみつ選びがより楽しく豊かになるよう、会津の豊かな野山を舞台に80年以上に渡り養蜂を続ける、松本養蜂総本場(まつもとようほうそうほんじょう)の代表であり蜂場主、松本高明さんに奥深きはちみつづくりのお話をお聞きしていきたいと思います(記事内では「タカアキ先生」として登場していただきます)。
聞き手は、“沼にハマりがちライター”の「ぬまる」が務めます。毎回、女将の松本彩子さんにもはちみつのオススメレシピをご紹介いただきますので、どうぞ最後までお読みくださいね。
教えてタカアキ先生!〜奥深きミツバチの世界〜
第9回「松本養蜂のプロポリス 何がすごいの?」
タカアキ先生


チャオ!ぬまるくん、久しぶりだね。

ぬまる


タカアキ先生、チャオ!いや〜季節の変わり目、体調を崩しがちで…。久しぶりになっちゃいました。

タカアキ先生


じゃあ、そんなぬまるくんには、はい、これ。

ぬまる


なんですか?

タカアキ先生


松本養蜂自慢のプロポリスだよ!栄養補給や、健康維持にぴったりな、ミツバチからの贈り物。

ぬまる


え〜!嬉しいです!でも僕、実はプロポリスのことをよく知らなくて。今日はぜひ、そのプロポリスについて教えてください!

タカアキ先生


オッケー!それじゃあ、早速始めようか。

自然が生んだ抗菌物質 プロポリス

タカアキ先生


さて、ぬまるくん。プロポリスについては、どんなイメージを持っているかな?

ぬまる


えっと、実はあまり考えたこともなくて…。ミツバチの巣の中に貯められた食料か何か、というイメージです。

タカアキ先生

なるほど。正直でよろしい!(笑)
プロポリスはね、実はミツバチにとっての食料ではないんだよ。はちみつやローヤルゼリーが食料なら、プロポリスは、巣材なんだ。

ぬまる


ええ!食べ物じゃないんですか?!

タカアキ先生

ミツバチにとってはね(笑)
ミツバチの巣は、ミツバチが分泌する蜜蝋で作られるんだけど、巣の中の壁や隙間でセメントのように使われるのがプロポリス。細菌やウイルスの侵入や繁殖を防ぐための抗菌作用があって、その名前も、一説ではラテン語の「pro(前・先)」 +ギリシャ語の「polis(町・都市)」から、「都市の入り口を守り、敵の侵入を防ぐ」という意味に由来すると言われているよ。

巣にせっせとプロポリスを塗りこんでいるミツバチ
ぬまる


ミツバチってなんでも自分で作っちゃうんですね。すごいなあ。プロポリスも、もともとは花粉や花蜜からできているんですか?

タカアキ先生

プロポリスは、樹木の新芽や樹脂(ヤニ)から作られているよ。これを噛み続けることで、ミツバチの唾液の酵素と混ざってできるんだ。プロポリスに抗菌作用があるのも、樹木の性質によるものでね。植物は、自らを守るために樹脂を分泌したり、新芽に抗菌物質を送ったりする。ミツバチは、この抗菌作用を活用しているということなんだ。

ぬまる


ミツバチは本当に賢いですね!ますます驚きです。そんな効果があるなんて、誰かが教えてくれるわけでもないのに…。

タカアキ先生

そうだね。でも、人間も負けていないよ。人間がプロポリスの抗菌作用に注目しはじめたのは、なんと古代エジプト時代!ミイラの防腐剤としてプロポリスが使われていたことが分かっているんだ。

ぬまる


すごい。第4回でも養蜂の歴史を教えていただきましたけど、本当に人間とミツバチの付き合いは長いんですね。ところで、プロポリスの使い方は、身体に塗る、ということでOKですか?

タカアキ先生

ああ、そうだった。プロポリスは、傷口や肌荒れ、やけどなんかに塗るもの効果的とされているけど、食用として有効成分を抽出したものは食べることができるよ。体内で抗菌作用が働いて、身体に悪さをする原因と戦ってくれるという研究が進んでいるんだ。もちろん、樹脂そのままじゃないから安心してね。

ぬまる


へえ〜!まるで“天然のお薬”ですね!

タカアキ先生


せっかくだから、味見してみたらどうかな。松本養蜂ではカプセルタイプとリキッドタイプを用意しているんだけど、今日はリキッドタイプを持ってきたよ。

ぬまる


ありがとうございます!いただきま〜す!

タカアキ先生


どう?

ぬまる


ちょっとピリピリしますね…。でも、森林の空気のような、爽やかな感じがします!

タカアキ先生

おお!ぬまるくんは食レポが上手だね。松本養蜂のプロポリスは、プロポリスの純粋な味わいにこだわっているんだよ。とはいえ、そのまま食べるよりは、はちみつなんかに混ぜるのがおすすめかな。朝、水に溶かしたプロポリスでうがいをして、そのままの飲み込む、なんて使い方もできるよ。

ぬまる


へえ〜!

タカアキ先生

そうそう、食用のプロポリスをふんだんに使った塗布用のペーストもあるよ。特に乾燥する季節にはおすすめでね。あかぎれに塗ったり、かかとケアに使ったりと、幅広く使えるんだ。

ぬまる


タカアキ先生、売り込み上手なんだから〜!家族のお土産に欲しくなってきました!

タカアキ先生


一家に一本、プロポリス!なんてね(笑)

松本養蜂こだわりのプロポリス

ぬまる


ところで、松本養蜂のプロポリスはやっぱり会津で採られているんですか?

タカアキ先生

良い質問をしてくれました。うちのプロポリス製品の原料は、ブラジルから輸入したものを100%原料として使用し、日本で加工したものなんだよ加工前のプロポリスを原塊というんだけど、そこから成分を抽出していくんだ。

ぬまる


へえ〜!でもどうして、わざわざブラジル産の原料で作るんですか?。

タカアキ先生

重要なポイントだね!物質としてのプロポリスはどのミツバチの巣にもあるけれど、どんな植物から作られたかによってその成分が大きく変わるんだ。樹脂や新芽を噛んで作られるプロポリスには、植物の持つ性質がダイレクトに現れるからね。僕らが輸入しているのは、ブラジルのアクアダプラッタ地区に自生するハーブの一種「アレクリン」を起源植物としたものなんだ。そこで採れるプロポリスには、他の産地のものと比べて有用成分が多く含まれていて、最高品質のプロポリスだとされているよ。

ぬまる


なるほど。

タカアキ先生

それから、もう一つ。この地域には、アフリカ蜂化ミツバチ(別名:キラービー)というミツバチも生息していて、凶暴なほど攻撃力が高くてね。それはつまり、巣を守る防衛本能が高いということ。だから、作られるプロポリスの量も多く、良質だと言われているんだよ。

ぬまる


生き物が作るものですもんね。土地によってさまざまな個性や品質の差が生まれるってことかぁ。

タカアキ先生


そういうこと。僕たちはミツバチのことをよく知っているからこそ、お客さまにお届けするものは最高の品質にこだわりたいんだ。

ぬまる


なんとなく身体にいいものっていうイメージで、どれも大きな差はないのかと思っていました。

タカアキ先生

いやいや、一般的に流通しているものの品質はさまざまだよ。でも、消費者がその質の良し悪しまで判断するのは難しいよね。だから、ミツバチに関わるプロとして、しっかりと見極めたものをお届けすることも、僕らの仕事の一つだと思っているよ。
ちなみに、僕たち松本養蜂は、日本でも最初にプロポリスを扱い始めた会社の一つなんだよ。知ってた?

ぬまる


えー!それは知りませんでした。

タカアキ先生

父の代に、当時プロポリスの第一人者だった大学の先生と一緒に作り始めたんだ。 プロポリスの有効成分を効率よく吸収できるような製法を編み出して、実は特許も取っているんだよ。

ぬまる


すごいことじゃないですか!それって、どんな製法なんですか?

タカアキ先生

「静電誘導非熱抽出法」と言うんだけどね。簡単にいうと、熱を加えずに、天然成分の有効性を損なわずに抽出する方法だよ。計5回も精密濾過を行なうから、一般的なプロポリスと比べて各成分がうんと細かくなるんだ。そうすると粘膜から吸収されやすいし、濾過の過程で不純物も取り除かれて、味わいもすっきりしたものに仕上がるんだよ。

ぬまる


へぇ〜、原料だけじゃなくて、製法にもすごくこだわっているんですね! タカアキ先生のお話を聞くと、何でも試したくなっちゃいます!

タカアキ先生


はちみつ以外にも、ミツバチに関連した製品はおまかせあれ!そうそう、次回はミツバチが生み出す“特別なはちみつ”を紹介しようかな。

ぬまる


えー!気になります!

タカアキ先生


まあまあ、今日はここまでにしよう。ぬまるくん、無理は禁物だよ。

ぬまる


あはは、そうですね。今日もありがとうございました!

女将のはちみつレシピ

ぬまる


彩子さん、チャオ!

彩子さん


あら、ぬまるさん。チャオ、です♪ 今日も取材ですか?

ぬまる


そうなんです。ところで、これ見てください!

彩子さん


わあ、美味しそうなかぼちゃの煮物!

ぬまる


なんと、僕が作りました!しかも、松本養蜂総本場のはちみつを使って作ったんですよ〜!

彩子さん


ええっ!それは嬉しいですね。今日は「女将のレシピ」じゃなくて「ぬまるのレシピ」ですねえ♪

かぼちゃのはちみつ煮

かぼちゃのはちみつ煮

■材料(カップ2個分)
かぼちゃ 1/4個
水 200ml
酒 大さじ2
はちみつ 大さじ2
醤油 大さじ1

■作り方
1.かぼちゃは種とわたを取り除き、食べやすい大きさに切る。
2.鍋に水、酒、はちみつ、醤油を入れて軽く煮立て、皮を下にしてかぼちゃを入れる。
3.落し蓋をして、15分程度煮る。
4.かぼちゃがやわらかくなったら完成。

ぬまる


毎回ごちそうになってばかりだからたまには僕が作ってみたくて。どうですか…?

彩子さん


はちみつの優しい甘さがかぼちゃを引き立てて、とっても美味しいです!

ぬまる


よかったぁ…!ちなみに今回は「国産はちみつ はりえんじゅ」を使用しました。

彩子さん


はりえんじゅは雑味がなく、食材の味を引き立てるのにぴったりですね。ナイスチョイスです!

教えて!タカアキ先生
発行:松本養蜂総本場
語り・監修:松本高明
文章・撮影:貝沼航
レシピ・文章:松本彩子
イラスト:むらやまちかこ
教えてタカアキ先生!連載一覧

第1回「どうして蜂が蜜を作るの?」
第2回「はちみつを採るのはかわいそう?」
第3回「ミツバチがいなくなると世界は滅ぶって本当?」
第4回「養蜂っていつからあるの?」
第5回「今、養蜂家が存続の危機って本当ですか?」
第6回「どうして会津で養蜂をしているの?」
第7回「どうして松本養蜂のミツバチは健康なの?」
第8回「単花蜜を採るのは難しい? 」
第9回「松本養蜂のプロポリス 何がすごいの?」(現在のページ)