タカアキ先生、はじめまして。これから毎月1回、養蜂のこと、そしてミツバチのことを教えていただけるということで、どうぞよろしくお願いします!
ボンジョルノ ぬまるくん!こちらこそよろしくね。養蜂のことならなんでも聞いてね!
おおっと、それは心強い言葉ですね。タカアキ先生はいつから養蜂をされているんですか?
うち(松本養蜂総本場)は、父の兄の代からの養蜂一家なんだけど、私は大学を卒業してから17年間のイタリア生活を経て、会津若松に戻って養蜂をはじめたんだ。そこからちょうど7年になるね。
だから最初の挨拶もイタリア語だったんですね!国外も含めて、いろんな経験をされてから養蜂をはじめられたんですね。
そうなんだよ。一度外に出てからこの仕事を始めたので、最初からいろんなことが新鮮だったし、家業のこともある意味客観的に見られたかな。うちはもともと自然や環境を大切にしたこだわりの養蜂をしてきたんだけど、私が入ってからは「もっとこうできるんじゃない?」と、ミツバチたちの健康のためと美味しいはちみつづくりのためにより細部にまでこだわるようになったね。現場でもともとやっていた社員とはよくケンカもしたけどね(笑)
確かに衝突はありそうですね。その辺りの話もとても興味深いので、今後詳しくお伺いできたらいいなと思います。
そのうち話しましょう(笑) あとはやはり、世界を見てきたからこそ感じる、これからの社会の中でのこの養蜂という仕事の存在意義、果たさなければいけない役割、つまり「自然と人との共生」のメッセージを伝えていくということを強く意識しながら事業に取り組んでいるね。
そういう意味では、より広い視点も含めて、はちみつづくりの背景を教えていただけそうですね!ワクワクしてきました!
それでは早速なんですが、はちみつについてイチから教えていただきたいです!
ベーネ(いいね)!どこから話そうかな。はちみつはミツバチが作るっていうのは知ってるよね?(笑)
はい、さすがにそれは知っています(笑)
じゃあ、どうしてミツバチがはちみつを作るのか知ってる?
えっ・・・と・・・食べるため?ですよね?
うん、そうだね。だけど、こんなに野山に花が咲いていたら、余るほどそんなに沢山作る必要はないよね?
確かに!あ、ということは、もしかして花が少ない冬のためですか?
ビンゴ!そうなんです。ミツバチは冬眠しないからなんだよ。
へぇー!!そうなんですね!!ということは・・・
そう、ミツバチ以外のハチは冬眠するんだ。正確には、アシナガバチとかススメバチは、女王蜂だけが次の年に備えて冬眠して、働き蜂は冬になると死んでしまう。
一方でミツバチは、働き蜂たちも女王蜂と一緒に身を寄せ合って巣の中でじっと冬を越すんだ。なので越冬するためには餌が必要なので、はちみつを作るという訳だね。
そうだったんですね!!じゃあ、はちみつは群れのみんなの冬の保存食ということですね。雪国の会津の人が乾物を作ったり、雪の中に野菜を保存したりするのと一緒ですね。
そうかもしれないね。みんな当たり前に「はちみつはミツバチが作るんでしょ」って言うけど、実は、そういう理由があるんだ。冬はみんなで集まって丸くなって、その姿はほんと愛おしいよ。
目が優しいお父さんの目になっていますね(笑) あ、でも、夏の食料はどうしているんですか?
もちろん春から秋の期間もはちみつを食べているよ。その余った分が冬の食料になるイメージかな。それから、幼虫が育つための餌にもなるね。女王蜂だけはちょっと違って、より特別な餌を食べるんだけどね。ローヤルゼリーっていう・・・
あ!聞いたことあります!
ローヤルゼリーについては、また今度まとめて話そうね。
それで話を戻すと、つまり、はちみつってミツバチたちにとっては数万匹の群れが幼虫から成虫まで一年中健康に生きていけるようにするためのものなんだ。だから、栄養価が高くて腐らない、まさにはちみつはスーパーフードなんだよ。
早速はちみつの概念が覆されはじめていますが(笑)、そういえば、ミツバチってどうやってはちみつを作るんですか?
いい質問だね。はちみつは、花の蜜が原料ということはイメージできるよね。でも、働き蜂が集めている段階では、まだはちみつではないんだ。ただの花蜜(はなみつ)、英語で言うと、Nectar(ネクター)です。
なるほど。
まず、外で働くハチたちが花から花へ飛び回りながら蜜を集めるんだけど、その時に、胃の前部のいわゆる「蜜のう」というところに花蜜を貯めて巣に持ち帰るんだ。
たしかに、手で持てないですもんね(笑)
うん。そして今度は、巣の中にいるハチたちに口移しで花蜜(ショ糖)を渡すんだ。その過程で、「蜜のう」の中と外を花蜜が出たり入ったりすることで、蜂の体内の酵素が働き、花蜜の主成分であるショ糖が果糖とブドウ糖へと変化するんだ。さらに水分も飛ばされることで糖度も高くなる。
ほぉ、、それってつまりどういうことですか?
詳しく説明すると専門的になり過ぎるので簡単に言うと、糖がそれ以上分解されない最小単位の状態に変わるから、体と脳の栄養源としてすぐにエネルギーに変わりやすい物質になるんだ。そして糖度も劇的に増すので美味しくなるし、半永久的に腐らないものになるんだ。
なるほど!それがネクターからハニーへの変化ということですね!
そうそう。それで蜜を受け取った蜂たちは、ある程度その変化が起こった後で、巣の中の小部屋、みんながよく見る六角形の穴(ハニカム)の中へ蜜を貯蔵する。そして、羽をはばたかせて風を当て、花蜜の水分をさらに蒸発させるんだ。
おぉ!さらに濃縮させるんですね。
そう、水分量で言うと最初の約60%の状態から22%以下にまで減らすんだ。巣の中の温度は常に約35度に保たれているんだけれど、それも、花蜜の濃縮と熟成を促進させて、美味しいはちみつにしていくためなんだ。そうしてひとつのハニカムに完熟したはちみつが貯まると、ミツバチの体内から分泌される蜜ろうでフタがされ、保存用の食料が完成するという訳だね。
人間にはほとんど感じないくらい薄い味しかしない花蜜が、あんなにトロっと濃厚なはちみつに変化するのにはそんな過程があったんですね!原料を加工して最強保存食を作る、ミツバチってすごい職人技を持ってますね!
でしょう!毎回、Bravo(ブラーヴォ)!!と叫びたくなるよ(笑) ちなみに、ミツバチ1匹がその一生で作るはちみつの量はどのくらいか知ってる?
どのくらいなんだろう、、コップ1杯くらいですか?
いやいや、実はティースプーン1杯くらいなんだ。
えっ!そんなに少ないんですね。。それは貴重だ。。なんだか、それをいただいてしまうのは申し訳ない気もしますね。
それが実はそうとも言えないんだよ。でも、話が長くなってきたし、そのあたりの話は次回にしようかな(笑)
そうですね。いやー、初回からはちみつ並に濃厚なお話でした!ありがとうございました!次回も楽しみです!
チャオチャオー!
ぬまるさん、たくさん質問していたら、もうすっかり夕方ですね。
寒くなってきたので、温かいお飲み物をご用意しますね。
なんですか〜?楽しみだな〜
今日はとっても簡単で、誰でも出来ちゃう「ハニージンジャー」という飲み物を作りますね。
一かけのショウガをすりおろして、ショウガと同量程度のはちみつを加え、お湯を注ぐだけ。お好みでレモン汁を加えると、ショウガの辛みとレモンの酸味がはちみつでまろやかになって、とっても美味しいんですよ。
これは、疲れた身体に沁みますね〜〜!!辛みも酸味も気にならないし、それぞれの香りがとってもいい。それにお湯を沸かしている間に準備ができるなんて、簡単でいいですね!
簡単で美味しいのはもちろんですが、はちみつとショウガの組み合わせは、喉の粘膜を保湿しながら腸内環境の改善までしてくれるので、季節の変わり目で落ち込みがちな免疫力を上げてくれるそうですよ!
ちょうど、風邪引きそうだったんですよね。これ飲んだら、身体がポカポカ温まってきました。調子良くなりそう!
朝晩冷え込んできましたから、ぜひお家で作ってみてくださいね。
ハニージンジャー
■材料(1人分)
お湯 120ml
生姜 1片
はちみつ 小さじ2
レモン果汁 5ml
■作り方
1.しょうがは皮をむいて、グラスの中にすりおろす
2.お湯、はちみつ、レモン果汁をグラスに入れ、かきまぜる